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「日商簿記1級と税理士試験の簿記論はどっちが難しいの?」
「日商簿記1級に合格してから税理士試験の簿記論に挑戦すべき?」
「簿記を始めて勉強するけど、いきなり簿記論から勉強していいの?」
とお悩みではないでしょうか。
実は、最短で税理士になるためには、日商簿記1級は受験しない方がいいです。
この記事では以下の悩みを解決します。
- 簿記論と日商簿記1級はどっちが難しいの?
- 日商簿記1級に合格することで税理士試験にメリットがあるの?
- 簿記は初心者だけど、いきなり税理士試験の簿記論から受験していいの?
私は、税理士の勉強を開始してから4年で税理士になることができました。
しかしその受験期間の中で同じ科目を2年間連続で受験したにもかかわらず、不合格になる等の失敗をしてます。
その後、税理士試験に対する考え方を改めた結果、合格することができました。
上記のお悩みを解決するため、この記事は以下3点について説明します。
- 簿記論と簿記1級のどちらが難しいか答えます。
- 簿記論と簿記1級の関係について解説します。
- 税理士試験 簿記論を受験するまでのロードマップを紹介します
結論としては、税理士試験の簿記論を目指す方は日商簿記1級は受験をおすすめしません。
日商簿記3級 ⇒ 日商簿記2級 ⇒ 全経上級 ⇒ 税理士試験 簿記論の順番で受験してください。
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簿記論と簿記1級出題範囲の検討 結論は簿記1級の方が難易度が高いです。
簿記1級の出題範囲
日商簿記1級では、「商業簿記」「会計学」「工業簿記」「原価計算」の4科目が出題範囲となります。合格基準は70%以上となりますが、各科目40%以上の得点が必要になるので苦手科目をつぶす必要があります。
簿記論の出題範囲
簿記論の出題範囲ですが、複式簿記の原理、その記帳・計算及び帳簿組織、商業簿記のほか工業簿記を含みます。ただし、原価計算は除かれます。
簿記1級と簿記論の出題範囲の違い
簿記1級の出題範囲は以下になります。
- 商業簿記
- 会計学
- 工業簿記
- 原価計算
これらの出題範囲の内、簿記論の出題範囲は、商業簿記と会計学、工業簿記になります。
さらに簿記論の工業簿記の出題は、商的工業簿記のみです。
商的工業簿記とは、決算書の中の「製造原価報告書」を作成するために必要な項目になります。
また、日商簿記1級の原価計算の中には管理会計も含まれてます。
管理会計の主な項目としては、CVP分析および投資の意思決定等が挙げられます。これらの項目も合格レベルに達すまでには相当な時間がかかります。
したがって、税理士試験の最短合格を目指すためには、日商簿記1級は受験しない方が時間の短縮になります。
簿記論 | 日商簿記1級 | |
商業簿記 | 〇 | 〇 |
会計学 | 〇 | 〇 |
工業簿記 | △ | 〇 |
原価計算 | × | 〇 |
簿記論と簿記1級の合格率の検討
簿記1級の合格率
回 | 受験者数 | 実受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|---|
147(2017.11.19) | 10,675名 | 8,286名 | 487名 | 5.9% |
152(2019.6.9) | 8,438名 | 6,788名 | 575名 | 8.5% |
153(2019.11.17) | 9,481名 | 7,520名 | 735名 | 9.8% |
155(2020.6.14) | 中止 | |||
156(2020.11.15) | 10,078名 | 8,553名 | 1,158名 | 13.5% |
157(2021.2.28) | 7,785名 | 6,351名 | 502名 | 7.9% |
日商簿記の試験は年に3回行われますが、毎年2月の試験については、日商簿記1級は行われておりません。
日商簿記1級の合格率は、5.9%から13.5%の範囲になります。受験者数は減少傾向にあります。
第156回の受験者数が、1万78人になり、153回の受験者9,481人よりも増えているのは、154回が中止になったからと考えられます。
簿記論の合格率
年数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
平成28年 | 35589人 | 5638人 | 15.84% |
平成29年 | 32974人 | 6632人 | 20.11% |
平成30年 | 30850人 | 4716人 | 15.28% |
令和元年 | 29779人 | 5381人 | 18.06% |
令和2年 | 26673人 | 5402人 | 20.25% |
簿記論の合格率は15%から20%の間ということになります。受験者数は毎年減少しています。
税理士試験合格を目指す場合簿記1級を受験すべき?
日商簿記1級のの出題範囲は、簿記論の出題範囲よりもかなり広いです。
日商簿記1級を合格してから簿記論の勉強をすることについては、余分な時間がかかってしまい、遠回りになります。
簿記論の合格率は15%~20%の間であり、日商簿記1級の合格率は5.9%から13.5%の間ですので、日商簿記1級の方が難しいといえるでしょう。
日商簿記1級に合格することで、税理士試験の受験資格を得ることができます。
しかし、私は、税理士資格の受験資格を得るために日商簿記1級を勉強することはおすすめしません。
もっと簡単に税理士試験の受験資格を得る方法があるからです。
例えば法律学または経済学のどちらかを1単位取得している大卒の方は、税理士の受験資格を得ることができます。
他にも日商簿記1級よりも難易度の低い全経上級に合格すれば、税理士の受験資格が得られます。
>>税理士試験を受けるための受験資格を得たい 4つの方法をケース別に解説
簿記論や簿記1級とその他の資格との関係
会計士と簿記1級の関係
公認会計士の試験範囲は日商簿記1級の試験範囲をすべて含んでいます。
公認会計士になりたい方は、日商簿記1級の受験をおすすめします。
簿記論と会計士試験の関係
税理士試験の簿記論と財務諸表論を合格していれば、公認会計士試験の短答式の財務会計論が免除されます。
短答式試験の一部科目免除の該当者 | 免除科目 | 添付書類 | |
---|---|---|---|
1 | 税理士となる資格を有する者又は税理士試験の試験科目のうち簿記論及び財務諸表論の2科目について基準(満点の60パーセント)以上の成績を得た者(基準以上の成績を得たものとみなされる者を含む。) (注)「税理士試験の試験科目のうち簿記論及び財務諸表論の2科目について基準(満点の60パーセント)以上の成績を得た者」には、簿記論及び財務諸表論の2科目合格した者若しくは1科目合格かつ1科目免除の者が該当し、2科目ともに免除された者は該当しません。 | 財務会計論 | 【税理士となる資格を有する者】 1.日本税理士会連合会発行の「登録事項証明書」 2.国税審議会発行の「合格証書(コピー)」等、税理士となる資格を有することを証する書面※1及び2の両方とも提出してください。なお、税理士登録を受けていない者は、審査会事務局試験担当係に照会してください。【税理士試験における一定の成績取得者】 国税審議会発行の「税理士試験等結果通知書(コピー)」等、簿記論及び財務諸表論の2科目について基準以上の成績を得たことを証する書面 |
私は公認会計士試験の短答式試験で6回不合格になりましたが、その後、税理士試験の簿記論および財務諸表論が合格していれば、短答式試験の財務会計論が免除になることを知りました。
税理士試験を受験するきっかけは、公認会計士の短答式試験の財務会計論の免除が欲しかったからです。
簿記論と簿記2級との関係
簿記2級の出題範囲は、おおむね簿記論の中にすべて含まれています。
したがって、簿記2級に合格してから、簿記論に挑戦した方がいいです。
簿記2級の合格率は次のとおりです。
回 | 受験者数(申込者数) | 実受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|---|
160(2022.2.27) | 21,974名 | 17,448名 | 3,057名 | 17.5% |
159(2021.11.21) | 27,854名 | 22,626名 | 6,932名 | 30.6% |
158(2021.6.13) | 28,572名 | 22,711名 | 5,440名 | 24.0% |
157(2021.2.28) | 45,173名 | 35,898名 | 3,091名 | 8.6% |
156(2020.11.15) | 51,727名 | 39,830名 | 7,255名 | 18.2% |
簿記2級の原価計算の出題範囲の中に「標準原価計算」「直接原価計算」という分野があります。
「標準原価計算」とは、製品を製造するために標準的にかかる原価を計算することです。
実際にかかった原価と標準原価を比べることで、原価がかかりすぎている等のフィードバックができますよね。
「直接原価計算」とは、費用を変動費と固定費に区分して、そのうち変動費を原価として原価計算を行います。
変動費とは、材料代のように個数が増えれば比例して増えるものや工場の職員さんの残業代のように時間が増えれば比例して増えていくものです。
固定費とは、給料のように毎月定額を支払わなければならないものです。
簿記論の範囲の中に原価計算はないから「標準原価計算」「直接原価計算」を勉強する必要がないと考えがちです。
しかし、簿記論の中には「本社工場会計」があり、工場でかかった原価を集計しなければならないのですが、「直接原価計算」や「標準原価計算」の知識や考え方が役に立ちます。
結論として、簿記2級に合格してから簿記論に挑戦すべきだと考えます。
税理士試験 簿記論を合格するまでのロードマップ
簿記論を合格するまでに以下の順番で資格取得することをおすすめします。
簿記3級 ⇒ 簿記2級 ⇒ 全経上級 ⇒ 税理士試験 簿記論
いきなり簿記論から受験する場合に、その勉強する過程の中でどれくらい成長したのか、わかりづらいです。
税理士試験の簿記論の勉強をしながら日商簿記3級、日商簿記2級と受験していけば自分のレベルが把握できます。
自分のレベルを把握することは、本試験までに税理士試験の簿記論を合格できそうなのか、もっと勉強しなければ合格できないのかがわかるため、軌道修正するよい機会になります。
簿記論 4カ月で独学合格した3つの勉強方法+使用した教材を公開
税理士試験の通信講座のうち、安価な2社を徹底的に比較した記事は次になります。
>>【税理士講座】クレアールとスタディングとではどっちを選べばいいの?どちらも受講した税理士が徹底比較します
おさらい
今回は、簿記論と日商簿記1級を比較してみました。
結論としては、以下になります。
- 簿記論の合格を目指す受験生は、日商簿記1級は必要ない
- 会計士を目指す受験生は、日商簿記1級を受験するべき
- 会計士の短答式試験を合格できない方は、税理士試験の簿記論および財務諸表論に合格すれば、会計士試験の短答式 財務会計論の免除ができる
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。