税法科目の選択

税理士試験のおすすめ税法科目について税理士が3つ厳選します

2021年7月10日

「簿記論と財務諸表論に合格した後、どの税法科目を受験するべき?」

「とにかく最短で税理士になりたいけど税法3科目はどれを選んだらいいの?」

「実務で役立つ税法科目は何?」

とお悩みではないでしょうか。

税理士の受験科目を合格体験記を見たり、税理士事務所の先輩の話を聞いて適当に決めてないでしょうか。

合格体験記では「法人税法」「相続税法」「消費税法」で合格している人の体験談が多く記載されてます。

最短で税理士になりたい場合は、この科目選択はやめてください。

税法の受験科目の選択はとても重要です。選択した受験科目よっては税理士になれない可能性があったり、税理士になるまで10年以上かかったりします。

最短で税理士になりたい場合は、税法科目を厳選してください。

この記事では以下のような悩みについて解決します。

  • 簿財は合格しましたが次にどの税法科目を受験すればいいの?
  • とにかく最短で税理士になりたいけど税法科目はどれを選べばいいの?
  • 実務で役立つ税法科目は?

私は、税理士の勉強を開始してから4年で税理士になることができました。

その受験期間の中で同じ科目を2年間連続で受験したにもかかわらず、不合格になる等の失敗をしてます。

その後、税理士試験に対する考え方を改めた結果、合格することができました。

上記のお悩みを解決するため、この記事は以下2点について説明します。

  • 簿財に合格した後、次に受験する科目をお伝えします。
  • 最短で合格するための税法3科目を教えます。
  • 実務で役立つ税法3科目をお伝えします。

私が実務未経験者におすすめする税法3科目は「所得税法」「消費税法」「国税徴収法」です

税理士試験の税法科目を選ぶ前に押さえておきたい最低限のルール

税理士試験 科目別の合格率

税法科目の受験者数と合格者数、合格率は以下になります。

簿記論と財務諸表論を除いて平均10%~15%の合格率です。

科目      2016年  2017年  2018年  2019年  2020年  
所得税法13.4%13.0%12.3%11.7%12.0%
法人税法11.6%12.1%11.6%14.7%16.1%
相続税法12.5%12.1%11.8%11.7%10.6%
消費税法13.0%13.3%10.6%11.9%12.5%
酒税法12.6%12.2%12.8%12.4%13.9%
国税徴収法11.5%11.6%10.7%12.7%12.1%
住民税11.7%14.3%13.5%19.0%18.1%
事業税12.9%11.9%11.0%14.8%13.1%
固定資産税14.6%13.3%14.9%13.7%13.5%
国税庁HPより

税理士試験は60点が合格点と公表されています。

https://www.nta.go.jp/taxes/zeirishi/zeirishishiken/gaiyo/gaiyou.htm

しかし、合格率は10%から15%なので、試験の6割取れれば合格できるわけではありません。

税理士試験は傾斜配点ですので、点数の高い順番から上位10%から15%を合格とし、それ以外は不合格になります。

したがって、60点を目指すのではなく、上位10%に入ることを目標としてください。

合格率だけを見れば、法人税法(合格率16.07%)、住民税(18.11%)、酒税法(13.90%)で決まりです。

しかし、この組み合わせでは、初学者が最短で税理士になることは難しいです。 

選択必修科目と重複できないミニ税法科目

選択必修科目は法人税法と所得税法です。

選択必修科目の制度とは、官報合格(会計2科目と税法3科目合格して税理士登録する方法)で税理士になるためには、法人税法か所得税法のどちらかに必ず合格している必要がある制度です。

ミニ税法の科目選択について次のルールがあります。

  • 「消費税法」と「酒税法」はどちらか一方しか合格できない
  • 「事業税」と「住民税」はどちらか一方しか合格できない

具体的には次のようになります。

  • 〇法人税法 所得税法 消費税法・・・選択必修科目の法人税法と所得税法は両方合格してもOK
  • ×法人税法 事業税 住民税・・・事業税と住民税は重複できない
  • ×所得税法 消費税法 酒税法・・・消費税法と酒税法は重複できない

合格までに必要な勉強時間と勉強時間を短縮できる科目の組み合わせ

税理士試験の各科目別の合格必要勉強時間はこちらです。

科目名合格勉強時間出題内容
簿記論450時間計算100%
財務諸表論450時間計算50%/理論50%
所得税法600時間計算50%/理論50%
法人税法600時間計算50%/理論50%
相続税法450時間計算50%/理論50%
消費税法300時間計算50%/理論50%
酒税法150時間計算40%/理論60%
国税徴収法150時間計算0%/理論100%
住民税200時間計算50%/理論50%
事業税200時間計算30%/理論70%
固定資産税250時間計算50%/理論50%
国税庁HPより

勉強時間を減らせる科目の組み合わせがあります。

  • 所得税法と法人税法
  • 所得税法と住民税
  • 法人税法と事業税

所得税法と法人税法はともに利益に対して税率をかける科目ですので、考え方が非常に似ているのですね。

法人税法に合格した方は所得税法にも合格することが多いです。

所得税法と住民税は、どちらも個人の所得に対して税金がかかります。

法人税法と事業税は、どちらも法人の所得に対して税金がかかります。

法人税法の申告書の中で事業税も併せて計算します。

税理士試験4年で税理士になった私の科目別の勉強時間を公開します

科目合格制度について

税理士試験は科目合格制度を採用しています。

科目合格制度とは、ある税法科目に合格したら、その科目は永久に合格となり、受験しなおす必要がない制度です。

https://www.nta.go.jp/taxes/zeirishi/zeirishishiken/gaiyo/gaiyou.htm

逆に、会計士試験では、科目合格制度を採用していません。

会計士試験は、短答式試験と論文式試験に分かれていますが、短答式試験に合格した場合、2年間に限り短答式試験が免除されます。

https://www.fsa.go.jp/cpaaob/kouninkaikeishi-shiken/qanda/index.html

科目免除制度について

実は税理士試験には、科目免除制度があります。

  • 会計科目について、会計に関する修士論文を執筆して国税審議会に認められたら1科目免除になる。
  • 税法科目について、税法に関する修士論文を執筆して国税審議会に認められたら2科目免除になる。

私は、税法2科目の免除を受けています。

税法の大学院に通うデメリットは、お金がかかることです。

私は教科書代も含めて、170万円かかりました。

税理士の大学院はどこがおすすめ?税理士が大学院を選ぶ3つの基準をお伝えします

最短で税理士になるためにおすすめの税法3科目

所得税法の受験はおすすめ

  1. 所得税法
  2. 消費税法
  3. 国税徴収法

5科目合格するためには、選択必修科目である法人税法か所得税法かどちらかに合格する必要があります。

初学者には所得税法をおすすめします。法人税法は以下の理由で、1回目の受験で合格することは難しいです。

  • 初学者では理解することが難しいタックスヘイブン税制等の国際税制や合併、分割等の組織再編税制があること
  • 税理士試験科目の中で最大のボリュームがあり、1年目で全範囲の論点を合格水準まで上げることが難しい
  • 租税法の基本的な考え方を理解している必要がある

租税法の基本的な考え方ですが、例えば「租税法律主義」とか「課税の公平」といった税法の基本原則です。

※「租税法律主義」・・・租税を徴収するためには必ず法律の根拠に基づいて行われなければならない

※「課税の公平」・・・個人の担税力(税金を支払う能力)に応じて税金が課されるべき

税理士試験の試験委員は、税法学者であったり、税務の本を執筆している有名な税理士です。

彼らが受験生の答案を採点するとき、租税法の基本的な考え方にもとづいて採点するはずです。

租税法の本的な考え方に反するような内容の答案を書いた場合、不合格になってしまう可能性があります。

私も2年連続で法人税法を受験しましたが、どちらも不合格でした。

計算問題は自己採点で合格水準に達してましたので、理論問題の答案内容が悪かったと思ってます。

法人税の本試験の理論問題は、租税法の基本的な考え方を理解している必要があるように感じました。

以下の要件をすべて満たす方でしたら法人税法を選択しても大丈夫です。

  1. 実務で法人税の申告書を作成しているため、別表調整をよく理解している
  2. 会社は定時に帰れることが多い
  3. 文章力に自信がある

税理士試験4年で税理士になった私の科目別の勉強時間を公開します

消費税法の受験は絶対におすすめ

私が税法科目の中で最も受験をおすすめする科目は、消費税法です。

以下は消費税法の過去5年間の受験者数と合格者数、合格率を一覧にしたものになります。

年数受験者数合格者数合格率
平成28年8508人1104人12.97%
平成29年7979人1065人13.34%
平成30年7859人833人10.59%
令和元年7451人884人11.86%
令和2年6261人782人12.49%

消費税法は、上記の表によると、受験者数が税法科目の中で一番多いです。会計科目2科目の合格者が最初に選ぶ税法科目が消費税法だと考えます。

したがって、他の税法科目に比べて初学者が受験する割合が高いため、そこに合格できるチャンスがあります。

消費税法の計算問題は簿記論の計算問題と勉強方法が似ており、理論問題は財務諸表論と勉強方法が似てます。

さらに消費税法は過去問を中心に勉強することが有効な科目です。

したがって、簿財に合格した後に受験してほしい最初の税法科目は消費税になります。

消費税法に初年度合格するための3つの勉強方法教えます

私が受験生なら国税徴収法を受験します

私が受験生なら国税徴収法を受験します。

理由は、受験者数が消費税に続いて多いからです。

区分受験者数合格者数2年度合格率(参考)
元年度合格率
所得税法           1,437             173            12.0            12.8
法人税法           3,658             588            16.1            14.7
相続税法           2,499             264            10.6            11.7
消費税法           6,261             782            12.5            11.9
酒税法             446               62            13.9            12.4
国税徴収法           1,629             198            12.2            12.7
住民税             381               69            18.1            19.0
事業税             335               44            13.1            14.8
固定資産税             874             118            13.5            13.7
合計
(延人員)
         36,845           6,357            17.3            15.5
国税庁HPより

受験者数が多いということは、比例して、初学者も多いはずなので真面目に勉強すれば合格できる可能性は高くなります。

逆に受験者数が少ないミニ税法科目(事業税、住民税、酒税法)の受験は、あまりおすすめしません。

ミニ税法科目は、合格するまでの勉強時間が少ないため、ほとんどの受験生は合格できるレベルに達していると思われます。

その中で合格を勝ち取るには当日のコンディションに左右されますし、運の要素が強いように思うからです。

消費税法や国税徴収法のような、真面目に勉強したら報われる科目を受験科目として選択するべきです。

実務で役立つ税法3科目を厳選します

法人担当の実務で役立つ科目

法人担当で役立つ税法3科目はこちらです。

  1. 法人税法
  2. 所得税法
  3. 消費税法

税理士法人に入社すると、顧問先の法人を巡回することになります。

そして、担当する法人の決算期になったら、決算書および申告書を作成する必要があります。

その際に必要になるのが法人税法と消費税法の申告書を作成するスキルです。

したがいまして、法人税法と消費税法は実務で役立つ税法科目の1位と2位です。

また、中小企業の多くは家族経営なので、オーナー個人の税金の相談に乗ることも多いです。

所得税法は、実務では重要な科目です。

相続担当の実務で役立つ科目

  • 相続税法
  • 固定資産税
  • 所得税法

私は今後は相続税法が必要だと思います。

中小企業の数は、1999年では423万社あったのに、2016年には305万社に減少してます。

https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2020/chusho/b1_3_1.html

今後は、中小企業数は将来的に減少しますので、顧問先の法人も何も営業しなければ減るばかりです。

しかし、逆に相続税の申告数は増加します。

https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2019/sozoku_shinkoku/pdf/sozoku_shinkoku.pdf

被相続人の数は、平成21年は114万人でしたが、平成30年には136万人に増加しています。

平成21年から平成30年まで毎年増加しているため、今後も増加することが予想されます。

統計から考えられるのは今後は相続税の申告書を作成する仕事が増えるため、相続専門で行う税理士事務所が増えてくると思います。

したがって、相続税法は、間違いなく実務で役立つ税法科目です。

相続税申告の依頼は、不動産オーナーからの受注が多いです。

不動産を評価する際には、固定資産税の評価額を参考にすることが多いです。

また、相続申告後に不動産を売却したいという相談も多いので、所得税法の知識はとても重要です。

したがって、相続税法、固定資産税、所得税法を選びました。

独立・開業したい人におすすめの税法3科目

独立・開業を考えている税理士受験生の方におすすめの科目は次になります。

  • 法人税法
  • 消費税法
  • 相続税法

顧問先の法人を巡回するのが税理士法人のメインの仕事です。

顧問先の決算書を組んだ後に、法人税法および消費税法の申告書を作成しなければなりません。

したがって、法人税法と消費税法は独立したい人にとって必須の科目になります。

法人税法や消費税法の申告書をいくつも作成することで、法人巡回の際にお客様に節税の提案をすることができるようになります。

さらに、相続税法も独立したい方が勉強すべき税法科目です。

事業で成功している顧問先の社長は、相続や事業承継にとても関心があるからです。

税理士試験の科目合格と年収との関係

税理士法人では、税理士試験の科目合格した際に資格手当が支払われる場合が多いです。

私が勤務していた税理士法人の場合、1科目につき5,000円が支給されました。

また、日商簿記1級に合格すれば、税理士試験の科目合格と同様に5,000円支給されました。

私は、会計2科目および税法1科目を試験で合格した後、科目免除制度を利用して税理士になりました。

さらに日商簿記1級も合格してますので、結論としては、毎月20,000円の資格手当を頂いてました。

毎月20,000円だと少ないように感じますが、積み重なると家計に与える影響は大きいです。

年間240,000円であり、5年間で1,200,000円になります。

税理士の現実の年収はいくら?勤務税理士の私の年収をぶっちゃけます

おさらい

最短で税理士になるために絶対に手を出してはいけない科目は、相続税法です。

私は、税理士法人2社で合計8年間の勤務経験があります。相続税法を受験している方は数多くいましたが、合格できた人は2人しか知りません。

どちらも相続税申告を専門で担当する部門の職員です。彼らでも合格するまでに3回受験してました。

合格体験記を読む限りでは、相続税法の受験生は、既に法人税法と消費税に合格しているケースがとても多いです。

そのような受験生ばかりの中で上位10%に入ることはとても難しく、初学者ではほぼ不可能といえます。

初学者は、相続税法の受験は避けることをおすすめします。

今回は、4年間の受験経験や大学院で得た情報をもとに、これから受験する方に向けておすすめの税法科目を解説しました。

この記事を読んだ方が最短で税理士になってもらえたら嬉しいです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

  • この記事を書いた人

相続専門 税理士

42歳 税理士資格取得
2つの税理士法人に合計9年間勤務
過去に財産総額19億円の相続申告の経験あり
趣味は温泉巡り

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